ホームページ・ECサイトの制作費に、補助金は使えるのか

「ホームページを作り直したい。補助金は使えますか」。使える制度はありますが、いちばん条件の細かい費用でもあります。対象になる条件と、申請前に確かめておきたい点をまとめました。

「ホームページを作り直したい。補助金は使えますか」。これは、補助金まわりで最もよく出てくる質問のひとつです。答えは「使える制度はある。ただし、いちばん条件が細かい費用でもある」。この記事では、サイト制作費が補助の対象になる条件と、申請前に確かめておきたい点を整理します。

サイト制作費が通りにくいぶん、同じ予算で業務側の仕組みを入れ替えるほうが対象になりやすい場合もあります。判断の材料としてツール・事例の一覧も見ておくと、申請の枠を選びやすくなります。

まず、ホームページ単体では通りにくい

知っておきたいのは、多くの制度で、ウェブサイト関連の費用には独自のブレーキがかかっているということです。よく見かけるのは、次のような決まりです。

  • ウェブサイト制作費だけの申請は認めない(他の取り組みとセットであることが条件)
  • 補助額全体のうち、ウェブサイト関連費に充てられるのは一定割合まで
  • 公開後の保守・更新費、サーバー・ドメインの維持費は対象外

理由は想像がつきます。ホームページは、業種を問わずどんな会社にも「作りたい理由」があり、放っておくと申請がそこに集中してしまう。制度の側は、あくまで売上や生産性の改善につながる取り組みの一部としてサイトを位置づけたいわけです。

MONOSASHIが掲載している212制度のうち、ホームページやECサイトに言及がある制度は84件(40%)でした。ソフトウェア・クラウドに言及のある143件(67%)と比べると少なく、この差は「単独では通りにくい」という実情と重なって見えます。使い道の広さでいえば、業務ソフト・クラウドの導入に使える補助金に分があります。

通る形にするなら、「サイトを作る」ではなく「販路を変える」

では、どう書けばいいか。考え方はシンプルで、サイト制作を目的ではなく手段の位置に置くことです。

伝わりにくい書き方 伝わりやすい書き方
ホームページが古いので刷新する 問い合わせの8割が電話で、対応に月40時間かかっている。Web上で見積依頼まで完結させ、電話対応を減らす
ECサイトを立ち上げる 卸売のみで販路が3社に集中している。直販チャネルを作り、売上構成を分散させる
デザインを新しくする 採用応募が年2件。求人ページと社員紹介を整え、採用単価を下げる

右側は、どれも「サイトの話」をしていません。困っている状態があって、その解決手段としてサイトが出てくる。審査する側が知りたいのは、この順番です。

対象になる費用・ならない費用の見分け方

制度ごとに違いはありますが、おおよその傾向はつかめます。

対象になりやすい 対象外になりやすい
サイトの制作・改修を外注する費用 公開後の保守・運用費、月々の更新費
ECカート、予約システムの導入・設定 サーバー・ドメインの継続利用料
商品撮影、掲載用のコンテンツ制作 自社の人件費(社内で作った場合)
公開に合わせた広告出稿(認める制度もある) 交付決定より前に発注・着手したぶん

最後の一行が、いちばん事故の多いところです。多くの制度では「交付決定」の通知が届く前に発注した費用は、後から対象にできません。制作会社との打ち合わせが進んでいると、つい先に契約したくなりますが、そこはこらえて、決定通知を待ってから発注する。順番を逆にしただけで全額が自己負担になった、という話は珍しくありません。募集の探し方から交付決定までの流れは補助金の申請、最初にやることで整理しています。制作費はいったん自社で払い切り、補助金が入るのはそのあとです。

先に確かめる3点

① サイト費だけで申請できるか ② 補助額のうち何割まで充てられるか ③ 発注していいのはいつからか。この3つは、見積もりを取る前に公募要領で確認しておくと安全です。

見積もりは何社から取るのか

一定金額を超える発注には、複数社からの見積もりを求める制度が多くあります。制作会社を1社に決めてから申請しようとすると、この段階で足止めされます。候補を2〜3社に当たっておくと、あとが滑らかです。

あわせて、見積書の書き方も見ておきたいところ。「ホームページ制作一式 120万円」という一行だけの見積もりは、審査でも実績報告でも扱いに困ります。設計・デザイン・実装・撮影・システム導入と、内訳が分かれている見積書をお願いしておくと、対象・対象外の切り分けがそのままできます。総額が見えたら、そこに補助率をかけて自己負担額も先に出しておきます。

サイトの前に、減らせるものがないかも見ておく

最後に、少しだけ違う角度の話を。ホームページを作り直したい理由が「問い合わせ対応がしんどい」であれば、サイトの改修と同時に、その対応そのものを軽くする手も検討できます。よくある質問への一次対応を自動化するだけで、電話とメールの往復がかなり減ることがあります。どの業務から手をつけるかは、AIで減らす優先順位が近い話です。

補助金は、あくまで手段を選んだあとの資金の話です。何を減らしたいのかが先にあると、サイトの要件も、申請書の書きぶりも、自然と定まってきます。

掲載中の制度は補助金一覧から地域・カテゴリで絞り込めます。ウェブ関連は生産性向上DX推進のカテゴリに入っていることが多いので、あわせてご覧ください。要件と締切は変わります。申請前に、必ず公式サイトで最新の内容をご確認ください。

この記事を書いた人
MONOSASHI 編集部
「測る」メディアの編集部。システム開発・AI・DXの実務知識を、現役エンジニアと元発注担当の視点で、判断に効く形に編集しています。
← 記事一覧へ 診断で測る