展示会の出展費に使える補助金|申込みは交付決定より先でいいのか

出展料の請求は交付決定より後、でも小間の申込みは先。この矛盾に、制度ごとに違う答えが出ています。2026年8月時点の公募要領で確かめました。

展示会に出ると決めたとき、順番で困ることがあります。小間は先に埋まるので早く申し込みたい。けれど補助金は「交付決定より前の発注は対象外」が原則です。先に申し込めば対象外、決定を待てば小間が無い。この矛盾に、制度ごとに違う答えが書かれていました。2026年8月末時点の公募要領を読んで確かめたことをまとめます。

国の制度で素直に使えるのは、いまのところ1つだけ

「展示会に出るために使う」と言える国の補助金は、小規模事業者持続化補助金です。対象経費に「④展示会等出展費」という独立した区分があり、そこに出展料が入ります。

制度 展示会の出展費 状態 上限/補助率
小規模事業者持続化補助金
<一般型・通常枠>
対象(独立した経費区分) 第20回は受付前(11/5〜12/15) 50万円(特例で最大250万円)/2/3
小規模事業者持続化補助金
<創業型>
対象(文言は通常枠と同じ) 第4回は受付前(11/5〜12/15) 200万円/2/3
新事業進出・ものづくり
商業サービス補助金
対象。ただし売上見込みの5%が上限 第1回 公募中 最大7,000万円/1/2〜2/3
中小企業成長加速化補助金 対象外(経費は5区分のみ) 3次公募は受付前
省力化投資補助金 対象外(一般型・カタログ型とも) 実施中

下の2つは、そもそも展示会の費目を持っていません。使えるのは上の3つで、そのうち展示会が主役になれるのは持続化補助金だけです。新事業進出・ものづくり商業サービス補助金は設備投資が主役で、展示会費はその一部という位置づけになります。

出展の申込みだけは、交付決定より先でよい

冒頭の矛盾に対する答えが、持続化補助金の公募要領に一行で書かれています。

※展示会等への出展の申込みについてのみ、交付決定前の申込みでも補助対象となります(ただし、請求書の発行が交付決定日以後でなければ補助対象外です)

補助金の大原則である「交付決定前の発注は対象外」に対して、展示会の出展申込みだけが例外として名指しされています。小間が先に埋まる催しの性質に、制度のほうが合わせた形です。ただし後半の但し書きが要点で、請求書の日付は交付決定日より後でなければなりません。申し込むのは先でよく、支払いの請求は後、という順番になります。

逆の制度もあります。新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の公募要領には「交付決定後の発注・契約が前提となります」と書かれています。同じ国の制度でも扱いが正反対なので、どちらを使うかで動き方が変わります。

出展料のほかに、何が対象になるのか

持続化補助金の「④展示会等出展費」は、出展料だけを指すわけではありません。公募要領には次のように書かれています。

対象になるもの 対象にならないもの
出展料(小間料)、関連する運搬費、通訳料・翻訳料、主催者から義務づけられた保険料 レンタカー代・ガソリン代・駐車場代、販売だけを目的とするもの、選考会や審査会への参加費、飲食費を含んだ商談会参加費、実績報告用の書類の翻訳料

会場までの交通費と宿泊費は「④」ではなく「⑤旅費」のほうに入ります。区分が違うだけで対象ではあるのですが、こちらは新幹線の指定席や航空券のエコノミー相当までで、グリーン車やビジネスクラスの差額、日当、タクシー代は外れます。補助事業計画に書いていない出張も対象外です。

自社でイベント会場を借りる場合は「⑦借料」、出展のために機械を買う場合は「①機械装置等費」と、行き先が分かれます。④に区分ごとの上限額はありません。上限があるのは広報費とウェブサイト関連費で、それぞれ30万円(税込)です。

終わった制度を、まだ使えるものとして数えない

展示会の補助金を調べると、いまも名前をよく見かける制度がいくつも出てきます。2026年8月末時点で確認したところ、次はすでに終わっていました。

制度 状態
ものづくり補助金 終了(最終は第23次)。新制度に統合された
中小企業新事業進出補助金 終了(最終は第4回)。同じく統合された
事業再構築補助金 終了(最終は第13回)
JAPANブランド育成支援等事業 単独の事業としては終了。海外展開の支援は他制度に引き継がれた

ものづくり補助金と中小企業新事業進出補助金は2026年に統合され、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金になりました。上の表で「公募中」としているのがその後継です。制度名で検索すると古い解説が多く残っているので、金額や条件は必ず現在の公募要領で確かめてください。

JETROは補助金ではありません

海外の展示会を調べると必ずJETROの名前が出ますが、これはお金が出る仕組みではありません。JETROがジャパン・パビリオンというブースをまとめて設置し、そこに入る出品料を下げる形です。たとえばフランスの食品見本市SIAL Parisでは、一般の出品料65万円に対して中小企業等は32.5万円と案内されています。現金は動かず、支払う額そのものが下がります。

そして、海外展示会の出展に特化した国の補助金は、2026年8月末時点で見あたりませんでした。海外に出るなら、持続化補助金(海外の展示会も対象)か、JETROの出展サポートを使うことになります。

実は本命は、地元の自治体の制度かもしれません

MONOSASHIが掲載している補助金410件を調べたところ、展示会の出展費を対象にしているものが57件ありました。28都道府県ぶんです。国の制度より上限は小さいのですが、公募の回数が多く、条件も緩やかなものがあります。

この57件を読んでいて、ひとつ気づいたことがあります。16件が「市外・県外で開かれる展示会であること」を条件にしています。地元の催しは対象外で、外に出ていく場合に出す、という設計です。「出展者数50社以上の市外開催のものに限る」といった書き方をします。

つまり、地元の制度を使って、東京や大阪の展示会に出る——これが本来の使い方として想定されています。地元で使える制度を探しながら、出る先は遠方から選ぶ、という順番になります。

ご自身の地域で使える制度は、補助金・助成金を、探すから都道府県ごとに見られます。上限額・補助率・締切と、公式ページへの出典を制度ごとに載せています。

どの展示会に出るかを決めてから、制度を探す

順番としては、出る展示会を先に決めたほうが早く進みます。補助金の申請には「何のために、いくらかかるのか」を書く必要があり、会期と出展料が決まっていないと計画が書けないからです。

MONOSASHIでは全国のDX・IT・AIイベントを、会期・会場・入場料・規模とあわせて掲載しています。出展の受付をしているものには印を付けていて、主催者の出展案内ページへのリンクも載せています。東京都大阪府のように地域から、あるいは東京ビッグサイトのように会場からも探せます。

もうひとつ、時間の見積もりを最初にしておくことをおすすめします。持続化補助金の第20回は、申請の締切が12月15日で、採択の発表は年明けです。いま申し込む展示会に間に合うのかを、会期から逆算して確かめてください。間に合わないなら、その回は自費で出て、次の回に向けて申請する判断もあります。

確かめたときの状態

この記事の金額・締切・条件は、2026年8月29日に各制度の公募要領と事務局サイトを読んで確認したものです。補助金は公募の回ごとに条件が変わり、締切も動きます。申請の前に、必ず公式の公募要領で最新の内容をご確認ください。

この記事を書いた人
MONOSASHI 編集部
「測る」メディアの編集部。システム開発・AI・DXの実務知識を、現役エンジニアと元発注担当の視点で、判断に効く形に編集しています。
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