設備やソフトの費用が対象になるのは、なんとなく想像がつきます。では、外部の専門家に払うお金はどうでしょうか。コンサルティング料、設計や要件定義の委託費、士業への報酬、伴走支援の月額。実は、公開中の212制度のうち113件が、専門家への相談や伴走支援に言及していました。ソフト・クラウドに次いで多い部類です。この記事では、その扱われ方を整理します。
「専門家に払う費用」の四つの呼び名
公募要領を読むときに戸惑うのが、呼び名がそろっていないことです。同じような費用が、制度ごとに違う項目名で並んでいます。
- 専門家経費・謝金:外部の有識者に依頼したときの報酬。1日あたり・1時間あたりの上限が決まっていることが多い
- 委託費・外注費:設計、開発、調査などを他社に任せる費用
- コンサルティング費用:計画づくりや業務改善の支援。制度によっては明確に対象外
- 伴走支援・専門家派遣:制度側が専門家を手配してくれる支援。自己負担が少額か無料のこともある
ここで押さえておきたいのが、上二つと下二つの性格の違いです。上は、自分で選んだ相手に払った費用の一部が、あとから戻ってきます。下は、制度が用意した支援をそのまま受けられます。後者は申請の手間が軽く、費用もほとんどかからないことがあるので、最初の相談先としては使い勝手がいいところです。
「申請書の作成代行」は、たいてい対象外
よく誤解されるのが、ここです。補助金の申請そのものを代行してもらう費用は、多くの制度で補助対象になりません。補助金は事業に使うためのお金であって、補助金を取るための費用に充てる想定ではないからです。
あわせて知っておきたいのが、成功報酬の相場感です。申請支援を受ける場合、着手金と、採択されたときの成功報酬(補助金額の一定割合)を組み合わせるのが一般的です。この費用は原則として自己負担です。受け取る額から差し引いて、それでも見合うかを先に計算しておくと、あとで揉めません。
補助金の入金額 −(自己負担分 + 支援報酬)。ここが手元に残る金額です。上限額の大きさだけで判断すると、この引き算を忘れがちです。
どこまでが「作るための」外注費か
では、どういう専門家費用なら通りやすいのか。傾向としては、成果物がはっきりしている委託です。業務ソフトやクラウドの導入や省力化・自動化の設備導入に伴う設計・設定の外注は、ここに含まれることが多くあります。
| 対象になりやすい | 対象外になりやすい |
|---|---|
| システムの要件定義・設計の委託 | 補助金申請書の作成代行 |
| 導入時の設定作業、データ移行の外注 | 顧問契約のような継続的な助言料 |
| 操作研修・社員向けトレーニング | 通常の経営指導、日常的な相談 |
| 市場調査、試作の外部委託 | 自社の人件費(社内で対応した分) |
境目にあるのが、右の2行目「顧問契約のような継続的な助言料」です。名目が月額の顧問料でも、何をいつまでに作るかが契約書に書いてあるなら、委託費として扱える場合があります。逆に「月◯回相談に乗る」という書き方だと、成果物が特定できず対象外と判断されやすくなります。契約書の文言ひとつで結論が変わる領域です。
申請前にそろえておきたい書類
専門家費用でつまずくのは、たいてい書類の段階です。以下は、先に用意しておくとあとが楽になるものです。
- 内訳のある見積書:「コンサルティング一式」ではなく、作業項目・工数・単価が分かれているもの
- 相見積もり:一定額以上は複数社からの見積もりを求められることが多い
- 契約書・仕様書:何を納品するのかが書かれていること
- 作業の記録:実績報告で、実際に何をしたかを示す資料が必要になる
そして、これも制度共通の落とし穴ですが、交付決定の前に契約・発注した費用は対象になりません。専門家との打ち合わせは進めても、正式な契約は決定通知を待ってから。ここだけは順番を守りたいところです。専門家への支払いは先に発生し、補助金が入るのはそのあとです。入金までの資金のつなぎ方も、あわせて見ておくと安心です。
まず無料の窓口を使ってみる、という手も
いきなり有償の支援に入らなくても、公的な相談窓口が用意されている制度があります。市区町村の産業振興課、商工会議所・商工会、よろず支援拠点といったところです。制度によっては、申請前にこの相談を受けることが要件になっているものもあります。
そこで話してみると、そもそも自社に合う制度が別にあると分かることもあります。有償の支援を検討するのは、そのあとでも遅くありません。支援に払う分まで含めて、その投資が何人分の手間を減らすかで見ると、判断の材料が増えます。
掲載中の制度は補助金一覧から、地域とカテゴリで絞り込めます。要件は制度ごとに異なりますので、専門家費用の扱いは申請前に必ず公式の公募要領でご確認ください。
「その投資が何人分の手間を減らすか」は、AI活用診断と開発見積もり診断で、工数と概算費用の両側から当たりをつけられます。どちらも登録は要りません。