使えそうな制度は見つかった。では、何から始めればいいのか。ここで手が止まる会社は多いように思います。公募要領は数十ページあり、専門用語も多い。ただ、最初にやることは実はそれほど多くありません。アカウントを用意する、公募要領の6か所だけ読む、締切から逆算する。この3つです。
まず、電子申請のアカウントを用意する
いまの補助金は、ほとんどが電子申請です。国の制度の多くはjGrantsという電子申請システムを使い、ログインにはGビズIDというアカウントが要ります。
GビズIDにはいくつか種類がありますが、補助金の申請に必要になるのは、法人の代表者または個人事業主本人が取得する上位のアカウント(プライム)です。ここで気をつけたいのが、発行に時間がかかる場合があること。オンラインで完結する方法なら短期間で済みますが、書類を郵送する方式だと日数がかかります。締切の直前に気づくと、それだけで今回は見送り、ということになりかねません。
GビズIDは、申請する制度が決まっていなくても取得できます。使う予定が少しでもあるなら、思い立った日に手続きを始めておくのが安全です。
なお、都道府県や市区町村の制度は、独自のシステムだったり、紙の郵送だったりします。制度ごとの申請方法は、公式サイトで確認してください。規模の小さい会社ほど、自治体の制度が手の届く範囲にあることもあります。
公募要領で先に読む6か所
全部を読もうとすると、たいてい途中で力尽きます。最初に確かめるべきなのは、この6つです。
| 見る場所 | 確かめること |
|---|---|
| 補助対象者 | 業種・従業員数・資本金・所在地・創業からの年数。ひとつでも外れると先へ進めません |
| 補助対象経費 | 自分が払いたい費用が、項目として並んでいるか |
| 補助率・上限額 | いくら自己負担が残るか。枠によって条件が違うことがあります |
| スケジュール | 申請締切だけでなく、交付決定・事業完了・実績報告の期限まで |
| 加点・減点の項目 | 認定を取っている、賃上げに取り組むなどで加点される制度があります |
| 採択後の義務 | 報告の回数、期間、書類の保管年数。ここが重い制度もあります |
このうち手が止まりやすいのは補助対象経費です。同じ費用でも、制度によって対象の範囲が違います。たとえば業務ソフトやクラウドの利用料は、制度ごとに扱いが分かれるところです。
この6つを押さえた時点で、「自分が申請できるか」「割に合うか」はだいたい判断できます。事業計画の書き方を考えるのは、そのあとです。
締切から逆算して、動く順番を決める
申請書を書く時間より、周りとのやり取りに時間を取られます。逆算しておくと、慌てずに済みます。
- 見積もりを取る:一定額以上は複数社が必要になる制度が多く、ここが一番待ちます
- 添付書類を集める:決算書、登記事項証明書、納税証明書など。役所で取るものは日数がかかります
- 事業計画を書く:何を、いくらで、どう良くするか
- 電子申請に入力する:入力項目が多く、初回は思ったより時間を使います
3の事業計画は、先に仕事の棚卸しをしておくと書きやすくなります。どの業務にどれくらい時間がかかっているかが手元にあれば、改善する中身も具体的になります。
締切当日はアクセスが集中して、システムが重くなることがあります。提出は前日までにと決めておくと、余計な事故が減ります。
発注していいのは交付決定のあと
多くの制度に共通する、最も事故の多いルールがこれです。交付決定の通知が届く前に契約・発注した費用は、あとから対象にできません。
採択の連絡が来ると、つい先に動きたくなります。導入先も「では進めましょう」と言ってくれる。けれど、採択と交付決定は別の手続きです。この間に発注してしまい、全額が自己負担になった、という話は本当によくあります。
導入先には、最初の商談の段階で「交付決定が出てからの発注になります」と伝えておく。それだけで、双方の予定が狂わずに済みます。
迷ったら、公的な窓口に一度聞いてみる
自社が対象になるか、この費用は認められるか。公募要領を読んでも判断がつかないことは普通にあります。そういうときは、事務局の問い合わせ窓口や、商工会議所・商工会、よろず支援拠点といった公的な相談先に聞くのがいちばん確実です。制度によっては、申請前に相談を受けることが要件になっているものもあります。
掲載中の制度は212件あり、補助金一覧から絞り込めます。それぞれの詳細ページに公式サイトへのリンクを載せていますので、公募要領はそこから開いてください。制度の内容は改定されます。申請前には必ず最新の情報をご確認ください。
事業計画に「何を入れるか」を書く段になったら、ツール・事例の一覧で近い業種の画面を見ておくと、見積もりを取る前に話が固まります。