生成AIの導入に使える補助金|通る形と、通りにくい形

「ChatGPTの月額を補助してほしい」は多くの制度で通りません。通るのは「この業務をAIに置き換える」という形です。掲載26制度から、AIに使える枠の見取り図をまとめました。

生成AIを業務に入れたい。ただ、月額のサービス利用料に補助金が出るのか、それとも大がかりなシステムを作らないと対象にならないのか。ここが判然としないまま止まっている会社は多いように思います。MONOSASHIが掲載している212制度から、AIに使える枠の見取り図をまとめました。

補助金の「本流」に入ってきたAI

掲載212制度のうち、AIや生成AIに言及のある制度は42件でした。数年前ならほとんど見当たらなかった言葉が、いまは制度名そのものに入るところまで来ています。国の代表格であるデジタル化・AI導入補助金は、以前は「IT導入補助金」という名前でした。名称の変化がそのまま、政策の重心の移動を表しています。

ただ、ここで期待をひとつ下げておきたいことがあります。「ChatGPTの月額を補助してほしい」という申請は、多くの制度で通りません。汎用のサービスに毎月払う利用料は、設備投資ではなく経常的な費用と見なされやすいためです。対象になりやすいのは、次のようなものです。

  • 登録されたAIツールを、業務システムとして導入する(対象ツールが一覧で決まっている制度がある)
  • 自社の業務に合わせてAIを組み込んだ仕組みを作る(開発・設定の外注費)
  • AI-OCRで紙の書類をデータ化する、といった具体的な工程の置き換え
  • 導入にあたっての設定・研修・伴走支援

共通しているのは、「AIを使う」ではなく「この業務をAIに置き換える」と説明できているかです。

審査する人に伝わる書き方

審査する側は、AIの専門家とは限りません。専門用語を並べるほど伝わりにくくなります。書き方を変えるだけで、印象はかなり変わります。

伝わりにくい 伝わりやすい
生成AIを活用してDXを推進する 問い合わせメールの一次返信を下書きさせ、担当2名の対応時間を月60時間減らす
AI-OCRを導入する 月800枚の納品書を手入力している。読み取りとチェックに置き換え、入力担当の作業を月50時間から10時間にする
業務効率化を図る 議事録の清書に週4時間。録音からの下書き作成に切り替え、週30分にする

右側には、AIという言葉がほとんど出てきません。減る仕事の名前と、その量が書いてあるだけです。ここまで具体になっていれば、審査側も効果を見積もれますし、社内の合意も取りやすくなります。

効果を「何人分」に直しておく

時間で書くと、多いのか少ないのかが読み手に伝わりません。フルタイム1人の年間労働時間をおよそ2,080時間として、割ってみます。

置き換える業務 年間で減る時間 何人分
問い合わせの一次対応 720時間 約0.35人分
納品書の入力・照合 480時間 約0.23人分
議事録・報告書の下書き 180時間 約0.09人分
合計 1,380時間 約0.66人分
3つ足すと

ひとつずつは小さくても、束ねると約0.66人分。採用が難しい今、この数字は「人を1人増やす代わりに何ができるか」という話として読まれます。

対象ツールが決まっている制度と、決まっていない制度

探すときに知っておくと迷わないのが、この違いです。

対象ツールが登録制の制度は、あらかじめ審査を通ったツールと導入支援事業者の中から選びます。自由度は下がりますが、「これは対象になるのか」と悩む場面が減り、手続きも支援事業者と一緒に進められます。初めてなら、こちらが楽です。

登録制ではない制度は、自社に合わせて作り込む場合に向いています。既存の基幹システムとつなぐ、現場固有の判断を組み込む、といった話は、既製ツールの一覧の中には見つかりません。そのぶん、何にいくらかかるのかを自分で説明する必要があります。

補助金の前に、置き換える業務を決めておく

順番として、制度を先に見つけて「これに合う使い道を考える」と、たいてい無理が出ます。先に決めておきたいのは、いま社内でいちばん時間を食っていて、手順が決まっている仕事はどれか。仕事の棚卸しで先に洗い出しておけば、どの制度に当てはめるかは後から選べます。

「通る形」に寄せるうえで効くのは、AIを入れること自体ではなく、どの業務がどれだけ減るかを先に決めておくことです。減った先の画面の形はツール・事例の一覧に、減る量の目安はAI活用診断で出せます。

AI関連の制度はAI活用のカテゴリから一覧できます。支払いはいったん自社で立て替えます。入金までの資金繰りを先に見ておくと、落ち着いて進められます。公募状況と要件は変わりますので、申請前には必ず公式サイトで最新の内容をご確認ください。

この記事を書いた人
MONOSASHI 編集部
「測る」メディアの編集部。システム開発・AI・DXの実務知識を、現役エンジニアと元発注担当の視点で、判断に効く形に編集しています。
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