補助金というと、数千万円規模の設備投資の話に見えます。実際、目立つ制度はどれも金額が大きい。それで「うちのような規模には縁がない」と感じてしまうのは、無理のないことだと思います。
ただ、MONOSASHIが掲載している212制度を金額で並べ直すと、様子が少し違って見えます。上限額の中央値は100万円。目立つ大型の制度は分布の端にあって、真ん中はもっと手前です。この記事では、従業員が数名の会社や個人事業主が現実的に狙える枠の探し方をまとめます。
金額の中心は100万円あたり
| 掲載中の212制度 | 実測 |
|---|---|
| 上限額の中央値 | 100万円 |
| 上限100万円以上 | 121件 |
| 上限額の最大 | 2億円 |
| 小規模事業者・個人事業主を対象に含む | 93件 |
| いま公募中 | 156件 |
上限が億単位という制度は目に入りやすいのですが、分布のなかでは端に位置します。真ん中は100万円あたりで、実際に手が届くのもその層です。しかも掲載212件のうち93件は、小規模事業者や個人事業主を対象に含む書き方をしていました。対象外だから載っていない、のではなく、探せていないだけという状態は、けっこうよくあります。
小さい枠には、小さい枠の利点がある
上限が数十万円という制度を見ると、手間に合わないように感じるかもしれません。ただ、実務のうえでは次のような違いがあります。
| 規模の大きい制度 | 地域の小さい制度 | |
|---|---|---|
| 求められる書類 | 事業計画書、財務資料など多い | 申請書と見積書が中心のことも |
| 競争 | 全国から集まる | その市区町村の事業者だけ |
| 結果が出るまで | 数か月 | 短めの制度がある |
| 相談先 | 支援事業者を探す | 役所の窓口に直接聞ける |
「20万円のために書類を書くのか」と考えるか、「半分戻るなら、後回しにしていた入れ替えが今年できる」と考えるか。40万円のソフトが実質20万円になるなら、判断が変わる会社は少なくないはずです。上限額ではなく補助率と自己負担で読むと、小さい枠の見え方はずいぶん変わってきます。
まず見る2か所
国の制度で外せないのが、小規模事業者向けの定番枠です。小規模事業者持続化補助金は上限50万円、補助率2/3で、販路開拓や業務効率化の幅広い取り組みに使える設計になっています。創業まもない事業者向けに創業型という枠も用意されています。使い道は、ホームページやECサイトの制作費、業務ソフトやクラウドの導入、生成AIや省力化の設備あたりが相談の多いところです。
そして、自分の市区町村。ここが見落とされがちです。区や市の産業振興課が独自に出している補助金は、その地域の事業者しか申請できません。競争率という意味では、いちばん有利な場所です。MONOSASHIの補助金一覧は都道府県で絞り込めるので、まずは自分の県のページを開いてみてください。
申請の前に、事業者としての足元を整えておく
小規模な事業者ほど、制度そのものより手前の準備でつまずくことがあります。よくあるのは、次のようなところです。
- 決算書・確定申告書:直近1〜2期分の提出を求められることが多い
- 登記や開業の証明:法人なら履歴事項全部証明書、個人事業なら開業届の控えなど
- 納税証明:税金の未納があると申請できない制度がある
- 事業の実績期間:「創業後◯か月以上」という条件が付いている制度がある
- 電子申請の準備:GビズIDの取得に時間がかかることがある
とくに最後は、締切間際に気づくと間に合いません。GビズIDの取得も含めて、申請でまず手をつけることから順に片づけておくと、締切前に慌てずに済みます。書類づくりを専門家に手伝ってもらうこともできますが、その費用自体が補助の対象になるかは制度によって分かれます。
残る負担で考える
もうひとつ、規模が小さいほど効いてくるのが資金繰りです。補助金は原則として、支払いを済ませて実績を報告したあとに入金されます。いったんは全額を自分で払う必要があるということです。上限50万円・補助率2/3の制度なら、75万円の買い物をして、まず75万円を払い、あとから50万円が戻ってきます。
ここを見誤ると、採択されたのに動けない、ということが起きます。入金までのお金をどうつなぐかは、申請を決める前に一度は考えておきたいところです。
掲載中の制度は補助金一覧から地域・カテゴリ・金額で絞り込めます。対象要件と締切は変わりますので、申請前に必ず公式サイトで最新の内容をご確認ください。
上限50万円前後の枠でも、業務ソフトの入れ替えなら十分に届きます。どのくらいのものが作れるかはツール・事例の一覧の画面が目安になります。