業務ソフト・クラウド導入に使える補助金|掲載212制度を「経費」から数えてみた

掲載212制度の説明文を数えると、ソフトウェア・クラウドへの言及がいちばん多く144件。制度名からは読み取れない「自分が払いたい費用が対象か」を、経費の側から探す方法をまとめました。

「会計ソフトを入れ替えたい」「受発注をクラウドに移したい」。そう思ったときに、補助金が使えるのかどうかは、意外とわかりにくいところです。制度の名前は「DX推進」「生産性向上」といった大きな言葉で付いていて、自分が払いたい費用が対象なのかどうかが、名前からは読み取れないからです。この記事では、MONOSASHIが掲載している補助金を「経費」の側から数え直して、ソフトやクラウドの導入費用をどう探せばいいかをまとめます。

掲載212制度のうち、ソフト・クラウドに触れているのは143件

まず、母数の話から。MONOSASHIでは国・都道府県・市区町村の制度を集めて、2026年8月時点で212件を掲載しています。その説明文をひとつずつ読み返して、どんな費用に言及があるかを数えてみました。

費用の種類 言及のある制度数
ソフトウェア・クラウドサービス 143
専門家への相談・伴走支援 113
ホームページ・ECサイト 84
ロボット・RPA・自動化 83
AI・生成AI 42

いちばん多いのが、ソフトウェアとクラウドでした。裏を返すと、ソフトを入れる話は、補助金の世界ではかなり主流の使い道だということです。「うちみたいな小さい投資は対象外だろう」と最初から諦めてしまうのは、少しもったいないかもしれません。

ただし、ひとつだけ注意を。ここでの143件は「説明文の中でソフトやクラウドに触れている制度」の数です。実際に対象経費として認められるかどうかは、制度ごとの公募要領で決まります。数字はあくまで、探しはじめの見当をつけるためのものと考えてください。

国の制度と地域の制度、どちらから見るか

ソフト・クラウド系の補助金は、大きく二つに分かれます。

ひとつは、国の制度。金額の規模が大きく、対象になるソフトの範囲も広めです。代表的なのがデジタル化・AI導入補助金(旧 IT導入補助金)で、あらかじめ登録された事業者・ツールの中から選んで導入する仕組みになっています。自分でゼロから探さなくていいぶん、初めてでも迷いにくくなっています。

もうひとつは、市区町村や都道府県の制度。上限20万円、30万円といった小ぶりな枠も多く、そのぶん要件がゆるく、競争もおだやかな傾向があります。掲載しているうち、市区町村が地域向けに出しているものだけで89件あります。つまり、数のうえでは地域の制度のほうが圧倒的に多い。ここを見ずに国の制度だけ眺めていると、目の前の選択肢を取りこぼします。上限額の大小だけで選ぶと自己負担を読み違えるので、補助率と自己負担もあわせて見ておきたいところです。小規模事業者や個人事業主を対象に含む制度も93件あり、規模が小さいから選択肢が無い、というわけでもなさそうです。

探す順番

国の制度で規模の大きい投資を検討しつつ、自分の市区町村・都道府県の枠も必ず見る。小さい枠のほうが、通ってから動き出すまでが速いこともあります。

「ソフト代」と一言でいっても、中身は分かれている

公募要領を開くと、ソフト関連の費用はさらに細かく分類されています。よく見かけるのは、このあたりです。

  • ソフトウェア購入費:買い切りのライセンス費用
  • クラウド利用料:月額・年額のサービス利用料。1年分・2年分までと期間の上限がある制度が多い
  • 導入関連費:初期設定、データ移行、カスタマイズ、操作研修など
  • ハードウェア費:パソコンやタブレット。ソフトとセットのときだけ認める制度と、そもそも対象外の制度がある

つまずきやすいのが、最後のハードウェアです。「クラウドを入れるからパソコンも新しくしたい」というのは自然な発想ですが、ここが対象外になっている制度は珍しくありません。見積もりを作る前に、公募要領の「補助対象経費」の項だけは先に読んでおくと、あとの手戻りが減ります。

月額サービスは「何年ぶんまで」を確認

クラウドは、買って終わりではなく毎月払い続けるものです。そのため補助の対象になるのは最初の1〜2年分まで、と区切っている制度がほとんどです。3年目以降は自社の負担になる前提で、月額に見合う効果が出るかを見ておきたいところです。

「何が減るか」を数字にする

申請書で審査されるのは、ソフトの機能ではありません。そのソフトを入れると、この会社の何がどれだけ良くなるのかです。ここで機能の説明ばかり並べてしまうと、読み手には伝わりません。

おすすめは、導入前と導入後を同じ物差しで並べること。たとえば受発注をクラウド化するなら、こう並べてみます。

いま 導入後の見込み
1件あたりの入力時間 12分 3分
月の件数 400件 400件
月の作業時間 80時間 20時間
年間 960時間 240時間

年720時間の差。フルタイム1人の年間労働時間をおよそ2,080時間とすると、0.35人分の仕事がなくなる計算になります。金額に置き換えるより、人数に置き換えたほうが、読む側にも社内にも伝わりやすい。この「何人分か」という物差しは、業務の棚卸しと同じ見方です。

まずは自分の地域の枠から

ソフトやクラウドの導入は、補助金の使い道としてはかなり通りやすい部類に入ります。金額が数十万円でも、通れば半分が戻る。それだけで、後回しにしていた入れ替えが今年の話になることもあります。動き出すなら、補助金の申請で最初にやることから順に進めるのが早道です。なお補助金は後払いなので、支払いから入金までは自社で立て替えることになります。

どんなソフトを入れるかがまだ決まっていないなら、先に画面を見てしまうのが早いこともあります。帳票発行システム営業支援システムは、補助対象になりやすい「業務ソフトの入れ替え」がどんな形になるかの一例です。

MONOSASHIの補助金一覧では、地域とカテゴリで絞り込めます。まずはIT・デジタル化のカテゴリと、自分の都道府県のページを開いてみてください。リンク先はすべて公式の一次情報です。締切と要件は変わるので、申請前には必ず公式サイトで最新の内容をご確認ください。

よくある質問

業務ソフトやクラウドの導入に、補助金は使えますか。

使えます。MONOSASHIが掲載している212制度のうち、ソフトウェア・クラウドサービスに触れているのは143件で、費用の種類としてはいちばん多い部類です。

クラウドの月額料金は何年ぶんまで対象になりますか。

制度によって上限が決まっています。買い切りではなく払い続けるものなので、「何年ぶんまで」を公募要領で必ず確認してください。

国の制度と地域の制度、どちらを見ればいいですか。

金額が数十万円規模なら、まず自分の地域の枠から見るほうが現実的です。競争も国の大型制度ほど激しくありません。

申請書に書く効果は、どう表せばいいですか。

金額よりも「何人分の仕事が減るか」に置き換えたほうが、読む側にも社内にも伝わります。年間の作業時間を2,080時間で割れば人数に直せます。

この記事を書いた人
MONOSASHI 編集部
「測る」メディアの編集部。システム開発・AI・DXの実務知識を、現役エンジニアと元発注担当の視点で、判断に効く形に編集しています。
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