宿泊業の経営力基盤強化事業費補助金
熱海市内で宿泊業を営む事業者が、予約管理や勤怠管理などのシステム導入、受付や配膳のロボット導入、外部専門家への導入相談にかかった費用の1/4の補助を受けられる制度です。従業員宿舎の建て替えや居室の改修も同じ制度の中で対象になり、静岡県の要綱に定める補助対象者は県からも同額以内が別に補助されます。
公式サイトの記載を 2026.08.11 時点で確認しています。
この補助金は、どんな制度か
熱海市が宿泊事業者向けに設けている補助金です。市内の宿泊業者が行う業務効率化・生産性向上事業、従業員宿舎施設の更新事業、改修事業の3つが対象で、生産性の向上と雇用の安定を図ることが目的とされています。補助額はいずれも補助対象経費の1/4で、1,000円未満の端数が出たときは切り捨てになります。
システム関係の枠にあたる業務効率化・生産性向上事業は、対象になる費用の幅が比較的広めです。宿泊予約管理、顧客情報管理、混雑状況の可視化、非接触型のチェックイン・アウト(キャッシュレス決済を含む)、仕入れと在庫状況の管理、勤怠管理、経理、館内案内、オーダーエントリーといったシステムの構築・開発や専用ソフトの導入費が並び、既存システムの改修費も含まれます。設定のための委託料、導入に付随するPC・タブレット・モニター・Wi-Fi機器・キャッシュレス決済端末、機器設置の工事費、受付案内や掃除、運搬・配膳・調理のロボット購入費、外部の専門家によるAI・DXツール(AIや業務のデジタル化に使う道具)の導入アドバイスにかかる経費も対象に挙げられています。
この枠の対象経費には、20万円の下限と300万円の上限が置かれています。300万円の1/4が75万円なので、熱海市からの補助は最大75万円という組み立てです。静岡県の要綱に定める補助対象者であれば、県からも補助対象経費の1/4(市が補助する額と同額以内)が補助され、こちらも最大75万円とされています。
従業員宿舎の枠は金額の桁が変わります。更新事業は、耐用年数を経過して建て替えが必要になった宿舎を解体し、新たに整備する場合が対象です。対象経費は一戸800万円かつ1事業所8,000万円(共同事業体で整備する場合は1億2,000万円)が上限で、補助額は1/4の額と、申請日時点でその宿舎に住む正規雇用従業員数に200万円を掛けた額のうち少ない方。熱海市の補助額は最大2,000万円です。改修事業は築20年を超えた居室が対象で、浴室・トイレ・キッチンの改修かWi-Fi整備(ルーター設置のみは不可)のいずれかを含むことが条件になっています。対象経費は一戸40万円を下限・100万円を上限、1事業所1,000万円が上限で、補助額は1/4の額と居住する正規雇用従業員数に25万円を掛けた額のうち少ない方、市の補助額は最大250万円です。
計画の提出期間は令和8年4月28日から令和9年2月26日まで。交付は予算の範囲内とされ、実績報告書の提出期限は事業の完了日によって異なると案内されています。公式ページには市と県それぞれの交付要綱、必要書類一覧、補助の対象・対象外をまとめた参考表、よくある質問が掲載されています。
枠ごとの上限額と補助率
| 枠・類型 | 上限額 | 補助率 | 対象・条件 |
|---|---|---|---|
| 業務効率化・生産性向上事業 | 熱海市補助額 最大75万円(県要綱の補助対象者は静岡県からも最大75万円) | 1/4 | 生産性向上に資するシステム導入等関連経費、システム導入等付随経費、ロボット製品購入費、コンサルティングサービス等利用事業。対象経費は20万円を下限、300万円を上限 |
| 従業員宿舎施設の更新事業 | 熱海市補助額 最大2,000万円(静岡県からも最大2,000万円) | 1/4(居住する正規雇用従業員数×200万円と比べて少ない額) | 耐用年数を経過した従業員宿舎を解体して新たに整備する工事の請負費・工事事務費など。対象経費は一戸800万円かつ1事業所8,000万円(共同事業体は1億2,000万円)が上限 |
| 従業員宿舎施設の改修事業 | 熱海市補助額 最大250万円(静岡県からも最大250万円) | 1/4(居住する正規雇用従業員数×25万円と比べて少ない額) | 築20年を超えた居室の屋内改修。役務費、工事請負費、設計に係る委託料など。対象経費は一戸40万円を下限・100万円を上限、1事業所1,000万円が上限 |
※ 枠によって対象になる費用も変わります。申請前に公募要領でご確認ください。
補助の仕組み
かかった経費のうち 補助率(1/4) の分が補助され、残りが自己負担です。補助額は 枠により異なる(業務効率化・生産性向上事業は上限75万円、従業員宿舎施設の改修事業は上限250万円、更新事業は上限2,000万円。いずれも熱海市の補助額で、県要綱に定める補助対象者は静岡県からも同額以内が補助される) が上限で、上限を超えた経費は自己負担になります。
どんな費用に使えるか
- ソフトウェア・クラウド:システム構築・開発、専用ソフト導入に必要な経費が対象。宿泊予約管理、顧客情報管理、混雑状況可視化、非接触型チェックイン・アウト、仕入れと在庫状況の管理、勤怠管理、経理、館内案内、オーダーエントリーの各システムが例示され、既存システムの改修費も含まれる
- パソコン・周辺機器:システム・ソフトウェア等の導入に係るPC、タブレット、ディスプレイ、モニター、Wi-Fi設備等の通信機器、キャッシュレス決済端末が機器等購入費として対象
- 機械・設備:ロボット製品購入費として、受付・案内ロボット、掃除ロボット、運搬・配膳ロボット、調理ロボットが挙げられている
- 専門家への謝金・コンサル:経営分野に精通し宿泊事業者に適切な助言を行える外部の専門家による、AI・DXツール等の導入アドバイスに係る経費が対象
- 外注・委託:システム・ソフトウェアの設定に必要な委託料が対象。従業員宿舎施設の改修事業では設計に係る委託料も対象経費に含まれる
- 店舗改装・内装工事:機器設置等に係る工事請負費が対象。従業員宿舎施設の更新・改修の工事請負費も、それぞれの枠の要件を満たせば対象
- 通信費・利用料:システム・ソフトウェア導入に係るWi-Fi設備等の通信機器の購入は対象に挙げられているが、通信回線の利用料そのものについては記載がない
チェック=公式に対象と書かれている費用/三角=条件つき(上の注記をご確認ください)/バツ=公式に対象外と書かれている費用/横線=公式サイトに記載が見つからなかった費用。枠や申請類型によって範囲が変わります。最終的な可否は公募要領でご確認ください。
もし、この制度を使うなら
たとえば、客室30室ほどの旅館で、予約を電話とファクスで受けて台帳に書き写している状態だとします。宿泊予約管理システムと顧客情報管理システムを入れ、フロントに非接触型のチェックイン・アウトとキャッシュレス決済端末を置く。導入設定の委託料と、フロント用のタブレット・モニターまで含めて対象経費が240万円になったとすると、熱海市の補助は1/4の60万円です。静岡県の要綱に定める補助対象者であれば、県からも同額以内が補助されるので、最大でもう60万円。手元の負担は240万円から120万円まで下がる計算になります。
減るのは、予約を台帳に書き写す作業、チェックイン時の記帳と現金のやり取り、月末に紙のシフト表を集計する時間あたりでしょうか。勤怠管理システムや経理システムも同じ枠の対象に挙がっているので、フロント業務だけでなく事務方の作業もまとめて見直す使い方ができます。人手が足りない清掃や配膳については、掃除ロボットや配膳ロボットの購入費も対象になっています。
対象経費は20万円が下限、300万円が上限です。300万円まで使えば熱海市分の補助は上限の75万円に届きますが、それを超える部分は自己負担になります。何をどこまで入れるかを決める前に、公式ページの「補助対象、対象外参考表」で自社が予定している費用が対象に入るかを見ておくと、見積もりの組み立てがしやすくなります。従業員宿舎を持っている場合は、居室の浴室やトイレの改修、Wi-Fi整備も別枠で使えます。
※ MONOSASHI編集部による活用イメージです。実際の対象可否は公式サイトでご確認ください。
対象になる会社
- 熱海市内で宿泊業を営む事業者であること
- 過去に同一事業に係る補助金の交付を受けていないこと
- 業務効率化・生産性向上事業は、対象経費が20万円以上300万円以下であること
- 従業員宿舎施設の更新事業は、減価償却資産の耐用年数等に関する省令による耐用年数を経過して建て替えが必要となっていること
- 耐用年数が経過していない場合でも、損傷・老朽化が激しく市が建て替えを必要と認めるものであれば更新事業の対象になること
- 更新事業でいう更新は、既にある従業員宿舎施設を解体して新たに整備することを指し、新築や、既存の社員住宅の定員を増やすためだけの増築は含まないこと
- 従業員宿舎施設の改修事業は、対象施設が築20年を超過していて、直近3年以内に内装の改修を行った居室でないこと
- 改修事業は、浴室改修・トイレ改修・キッチン改修・Wi-Fi整備(ルーター設置のみは不可)のいずれかの工事を申請内容に含むこと
- 静岡県の要綱に定める補助対象者であれば、市の補助に加えて県からも補助対象経費の1/4(市が補助する額と同額以内)の補助を受けられること
※ すべての条件を満たす必要があります。判断に迷うときは実施機関の窓口にご確認ください。
対象・実施機関
- 対象
- 熱海市内の宿泊業者。過去に同一事業に係る補助金の交付を受けている場合は対象外です。
- 対象地域
- 静岡県熱海市
- 実施機関
- 熱海市 観光建設部 観光経済課 産業振興室(観光担当)
申請前に知っておきたい注意点
- 過去に同一事業に係る補助金の交付を受けている場合は対象外
- 交付は予算の範囲内で行われる
- 補助額は1,000円未満の端数が生じたときは切り捨てになる
- 業務効率化・生産性向上事業の対象経費には20万円の下限と300万円の上限がある
- 改修事業でWi-Fi整備を行う場合、ルーターの設置のみでは対象にならない
- 更新事業は、従業員宿舎を新たに持つ新築や、定員を増やすためだけの増築は対象にならない
- 改修事業は、直近3年以内に内装の改修を行った居室は対象にならない
- 実績報告書の提出期限は事業の完了日によって異なる
- 熱海市の申請様式と静岡県の申請様式は別に用意されている
- 補助の対象・対象外は公式ページの「補助対象、対象外参考表」で確認できる
申請の手順
要綱と対象表を確かめる
公式ページに静岡県と熱海市それぞれの交付要綱、必要書類一覧、補助対象・対象外参考表、よくある質問が掲載されている。自社の事業がどの枠に当たるかをここで確認する
計画を提出する
計画提出期間内に、熱海市様式第1号ほかの申請様式と必要書類を揃えて提出する
県の補助も受ける場合は県の様式も出す
静岡県の要綱に定める補助対象者は、県からも補助対象経費の1/4(市が補助する額と同額以内)が補助される。静岡県様式第1-1号などが用意されている
事業を実施する
補助の対象になる経費と対象外の経費は参考表で確認できる
実績報告書を提出する
提出期限は事業の完了日によって異なるため、観光経済課 産業振興室に確認する
スケジュール
- 計画提出期間の開始令和8年4月28日(火曜日)
- 計画提出期間の締切令和9年2月26日(金曜日)
- 実績報告書の提出事業の完了日によって異なる
- 交付の条件予算の範囲内
※ 日程は変更されることがあります。最新の締切は公式サイトでご確認ください。
申請前に準備するもの
- 熱海市様式第1号
- 熱海市様式第2号
- 熱海市様式第3号から第10号
- 静岡県様式第1-1号(県要綱に定める補助対象者)
- 静岡県様式第1-2号(県要綱に定める補助対象者)
- 静岡県様式第2号(県要綱に定める補助対象者)
- 静岡県様式第3号から第10号(県要綱に定める補助対象者)
- そのほかの添付書類は、公式ページの「必要書類一覧」で確認する
よくある質問
熱海市と静岡県の両方から補助を受けられますか
県要綱に定める補助対象者は、市の補助に加えて静岡県からも補助対象経費の1/4(市が補助する額と同額以内)が補助されると案内されています。
以前に同じ補助金を受けたことがあります。もう一度使えますか
過去に同一事業に係る補助金の交付を受けている場合は対象外とされています。
従業員宿舎を新しく建てる場合も更新事業に当たりますか
更新は既にある従業員宿舎施設を解体して新たに整備することを指し、今まで宿舎を持っていなかった新築や、既存の社員住宅の定員を増やすためだけの増築は含まないと明記されています。
もっと細かい疑問はどこで確認できますか
公式ページに「よくある質問とそれに対応する回答」がExcelで掲載されているほか、補助の対象・対象外の例をまとめた参考表もあります。
申請の前に、読んでおきたいこと
制度の中身とは別に、補助金そのものの仕組みで引っかかりやすいところがあります。
何を入れるか、実物で考える
対象になる経費が分かっても、入れるものが決まらないと申請書は書けません。MONOSASHI が作った業務システムを、触れる形で置いています。