観光関連事業者デジタル化レベルアップ支援事業補助金
東京都内の中小企業の観光関連事業者(宿泊・飲食・小売・旅行など)が、専門家の助言を受けて作成した計画に基づき、システムの構築やソフトウェアの導入、機械設備の導入に取り組むとき、対象経費の2/3以内(賃金引上げ計画を達成した場合は3/4以内)が補助されます。上限は1,000万円で、申請の前に専門家派遣を受けることが必須です。
公式サイトの記載を 2026.10.02 時点で確認しています。
この補助金は、どんな制度か
東京都と公益財団法人東京観光財団が、都内の中小企業の観光関連事業者が専門家の助言を受けながら、自らの事業の業務効率化やサービス向上のために、新たにデジタル技術を活用する取組を支援する制度です。大きな特徴は、専門家派遣を受けることが必須になっている点です。申請の前に専門家から経営診断や助言を受け、交付決定のあとにも伴走支援を受けます。すでに内容が決まっている取組や、専門家の助言を踏まえていない取組は、補助の対象になりません。
想定されている取組の例は、管理業務を効率化する業務管理システム、販売実績を分析できる顧客管理システム、直販比率を高めるための自社サイト内の予約販売・決済システム、管理システムと連動したセルフチェックイン・アウト機能つきのセルフ自動精算機、施設内の混雑状況をリアルタイムで提供しデジタル整理券を備えたシステムなどです。補助の対象になる経費は、デジタル化・DX経費(システム構築費、ソフトウェア導入費、クラウド利用費、データ取得・解析経費)と、機械設備導入費(機械設備購入費、機械設備開発費)の2つに分かれます。
補助率は対象経費の2/3以内で、補助限度額は1,000万円、下限額は100万円です。賃金引上げ計画を掲げて申請し、事業終了後に初めて迎える事業年度に、給与支給総額が申請時の直近決算より2.0%以上増え、事業場内の最低賃金が地域別最低賃金+30円以上になった場合は、補助率が3/4以内になります。補助額の算定では千円未満が切り捨てられます。
対象外の経費は幅広く定められています。事務用のパソコン、タブレット端末、携帯端末、プリンター、セキュリティソフトなど汎用性があり目的外にも使えるもの、ワードやエクセルなどの汎用ソフト、保守にかかる経費、システムや設備を使うための研修費、直接人件費、通信費や振込手数料などの間接経費、中古品、関連会社との取引などです。補助対象経費には、消費税及び地方消費税相当額も含まれません。
募集期間は2026年5月28日から2027年3月31日までですが、申請額が予算額に達した時点で受付が終了します。申請は郵送か、電子申請システムjGrantsで行い、専門家派遣の申込は補助金の申請とは別に必要です。専門家派遣は通年で申込を受け付けていて、遅くとも募集締切の3か月前までに申し込むよう案内されています。
補助の仕組み
かかった経費のうち 補助率(2/3以内(賃金引上げ計画を掲げて達成した場合は3/4以内)) の分が補助され、残りが自己負担です。補助額は 最大1,000万円 が上限で、上限を超えた経費は自己負担になります。
どんな費用に使えるか
- ソフトウェア・クラウド:システム構築費、ソフトウェア導入費、クラウド利用費、データ取得・解析経費が対象です。システム構築は補助対象期間内に完了させ、申請前に要件定義等を終えて内容を具体的に決めておく必要があります。ワードやエクセルなど汎用性のあるソフトは対象外です
- パソコン・周辺機器:機械設備購入費(すでに商品化されている機械設備の購入)が対象です。パソコン、タブレット端末、携帯端末、プリンターなど、汎用性があり目的外にも使えるものは対象外で、補助対象事業の専用として使う場合に限り対象になります
- 機械・設備:機械設備購入費と、機械設備開発費(自社の取組に合わせた特注の機械設備の作製を外部に委託する経費)が対象です。中古品、自社以外に設置する機械装置・備品、補助対象期間外のリース・レンタルは対象外です
- 外注・委託:機械設備開発費として、商品化されていない特注の機械設備の作製を、外部の事業者、専門機関、教育機関、研究機関等に外注・委託する経費が対象です
- 研修・人材育成:構築・導入したシステムや機械設備を使うためのトレーニングや研修にかかる費用は対象外です
- 人件費:直接人件費は対象外です
- 通信費・利用料:通信費、家賃、光熱費、交通費、振込手数料などの間接経費は対象外です
- 原材料・試作:消耗品等の事務的経費や、完了時点で未使用の購入原材料等は対象外です
チェック=公式に対象と書かれている費用/三角=条件つき(上の注記をご確認ください)/バツ=公式に対象外と書かれている費用/横線=公式サイトに記載が見つからなかった費用。枠や申請類型によって範囲が変わります。最終的な可否は公募要領でご確認ください。
もし、この制度を使うなら
たとえば、都内で小さな旅館やホテルを営む中小企業が、予約の受付や宿泊客の管理を、紙や表計算ソフトとOTA(旅行予約サイト)の管理画面に分けて行っていて、直販の比率を高めたい場合を考えます。専門家の経営診断で、予約から決済までを自社サイトで完結させることと、管理システムと連動したセルフチェックイン・精算機の導入が課題として整理されれば、その計画が補助の対象になります。
試算としては、システム構築費と機械設備の購入費をあわせた対象経費が900万円(消費税等を除く)なら、補助率2/3で補助額は600万円、自己負担は300万円です。賃金引上げ計画を掲げて達成すれば、補助率が3/4になり、補助額は675万円、自己負担は225万円になります。上限の1,000万円に届くのは、2/3の場合で対象経費が1,500万円、3/4の場合で約1,333万円のときです。
進め方としては、まず専門家派遣の申込を出し、派遣決定まで1か月程度、そこから数回の経営診断を受けて取組の内容を確定します。そのあと、財団へ対象になるかを確認し、支援証明書を専門家から受け取ってから申請します。締切が2027年3月31日で、専門家派遣は遅くとも締切の3か月前までの申込とされているため、動き出すのは年内が目安です。事業が始まるのは交付決定からで、実施期間は1年以内です。
※ MONOSASHI編集部による活用イメージです。実際の対象可否は公式サイトでご確認ください。
対象になる会社
- 東京都内に登記簿上の本店または支店があり、令和8年4月1日現在で継続して2年以上都内で事業を営んでいること(個人事業者を含む)
- 令和8年4月1日現在で、申請に係る業種の事業を都内で1年以上営んでいること
- 中小企業基本法に定める中小企業者(会社及び個人事業者)で、大企業が実質的に経営に参画していないこと
- 次のいずれかの観光関連事業者であること(宿泊事業者、飲食事業者、小売事業者、旅行事業者、そのほか財団理事長が認める体験プログラム提供事業者)
- 宿泊事業者は旅館業法の許可を受けていること、飲食事業者は飲食店営業または喫茶店営業の許可を受け、東京ならではの食事や食体験を提供していること
- 小売事業者は都内に常設の店舗を設け、旅行者に専ら東京ならではの土産や特産品を販売していること、旅行事業者は都内に主たる営業所を置き旅行業法の登録を受けていること
- 専門家の助言を受けて作成した計画に基づき、デジタル技術を活用した取組を行うこと
- 補助事業の期間中、専門家から伴走支援(途中経過の確認や事業実施に関する助言)を受けること
- 補助事業の成果を活用して、都内で引き続き事業を営む予定であること
- 都税その他租税の未申告や滞納がないこと(猶予を受けている場合を除く)
- すでに本事業の補助を受けていないこと(申請時点で本事業を完了している場合は対象)
- 暴力団関係者、風俗営業等を行う事業者、過去5年以内に刑事法令による罰則の適用を受けた者、民事再生法・会社更生法・破産法に基づく手続中の者などは対象外です
※ すべての条件を満たす必要があります。判断に迷うときは実施機関の窓口にご確認ください。
対象・実施機関
- 対象
- 東京都内に本店または支店があり、令和8年4月1日現在で継続して2年以上都内で事業を営む中小企業・個人事業主のうち、宿泊、飲食、小売、旅行など、旅行者向けにサービスや商品を提供する観光関連事業者です。
- 対象地域
- 東京都
- 実施機関
- 公益財団法人東京観光財団 観光産業振興部 観光産業振興課
申請前に知っておきたい注意点
- 申請の前に、専門家から経営診断や助言を受けることが必須です。すでに申請内容が決まっている事業を、そのまま申請することはできません。
- 専門家の助言前から実施内容が決まっている取組や、助言を踏まえていない取組は、補助の対象になりません。助言をした専門家は、補助対象事業を請け負うことができません。
- 専門家派遣の申込は、補助金の申請とは別に必要で、郵送のみで受け付けられています。「支援証明書」の発行の前に、必ず財団へ問い合わせます。
- 補助事業を実施できる期間は、交付決定日から1年以内です。
- 実績報告は、補助事業が完了したとき、または補助対象期間が終了したときの、いずれか早い日から原則30日以内に行います。
- 交付決定後も、補助事業の期間中に専門家の伴走支援を最低1回は受ける必要があります。その業務報告書の写しは、実績報告のときに必要です。
- 賃金引上げ計画を掲げて3/4以内の補助を受けた場合に、要件を達成できなかったときは、補助金の一部の返還を求められることがあります(天災など、事業者の責めに帰することができない事由による場合を除く)。
- 補助対象事業の終了後12か月以内のいずれかの月に、給与支給総額が申請月の前月から12か月前の同月より2.0%以上増えれば、賃金引上げ要件を満たしたとみなす前倒しの規定があります(2026年8月31日に追加)。この場合も、あとで要件の達成を報告します。
- 同一の事業について、複数の補助金を受けることはできません。ただし、国や自治体などの補助事業と対象経費を明確に区分できる場合は対象になります。
- リース・レンタルは、補助対象期間内に新たに契約したものに限られます。割賦で購入する場合は、すべての支払が補助対象期間内に終わるものに限られます。
- 購入する機械設備には、メーカー、型番、規格等がわかる資料が必要です(市販品は、価格表示のあるカタログ等でも可)。
- 単価50万円(税抜)以上の財産は、補助事業を完了した年度の翌年度から5年間は、処分や移設の前に承認が必要です。経理関係の書類も、同じ期間は保存します。
- 事業者名、所在地、事業テーマ名などが公表されることがあります。
- 補助対象の事業者以外の方による問い合わせや、代行申請は受け付けられていません。都や財団を装った不審な勧誘にも注意が必要です。
申請の手順
専門家派遣(申請前支援コース)の申込
申込に必要な書類を財団へ郵送します。通年で受け付けていて、遅くとも募集締切の3か月前までに申し込みます。
専門家派遣の決定
審査後に、派遣決定通知書が発行されます。申込から決定まで、通常1か月程度かかります。
専門家による経営診断
無料で、最低1回は必須、最大5回まで受けられます。既存事業全体の分析と課題の抽出、取り組む内容の助言を受けます。3回程度の助言が勧められています。
取組内容の確定
DXやデジタル化の取組が必要と診断されたら、専門家から導入するシステム等の提案を受け、内容を確定させます。
補助対象になるかの事前確認
確定した取組と経費が申請の対象になるかを、財団の本事業担当者に必ず事前に確認します。
支援証明書の取得と補助金申請
助言を受けた専門家に支援証明書(様式第1-2号 別紙3)を作成してもらい、郵送、またはjGrantsで申請します。
書類審査と交付決定
財団が書類を確認し、不備の修正などのやりとりをしたうえで審査し、交付が決定されます。この交付決定から、補助事業が始まります。
専門家による伴走支援
補助事業の期間中に、無料で最低1回は必須、最大5回まで専門家の伴走支援を受けます。
実績報告
補助対象事業の終了後、実績報告書と、伴走支援の業務報告書の写しなどを財団へ提出します。
補助金額の確定と請求
財団が内容を審査して補助金の額を確定し、確定通知を受けたら請求書を提出します。賃金引上げ計画を掲げた場合は、達成報告書を提出し、確認を受けたうえで、その分の補助金も確定されます。
スケジュール
- 募集期間2026年5月28日から2027年3月31日まで(予算額に達した時点で受付終了)
- 申請期限(郵送)2027年3月31日(当日消印有効)
- 申請期限(電子申請)2027年3月31日17時00分申請到達分まで
- 専門家派遣(申請前支援コース)の申込通年で受付。遅くとも募集締切の3か月前まで(申込から派遣決定まで通常1か月程度)
- 補助事業の実施期間交付決定日から1年以内
- 実績報告補助事業が完了したとき、または補助対象期間が終了したときの、いずれか早い日から原則30日以内
- 賃金引上げ計画の達成報告補助事業の終了後に初めて到来する事業年度の決算月から、原則4か月以内(賃金引上げ計画を掲げた場合)
- 電子申請に必要なアカウントGビズIDプライムの発行に通常2〜3週間(間に合わない場合は郵送で申請)
※ 日程は変更されることがあります。最新の締切は公式サイトでご確認ください。
申請前に準備するもの
- 交付申請書・第1-1号
- 事業計画書・第1-2号
- 経費明細表・別紙1
- 賃金引上げ計画及び誓約書・別紙2(賃金引上げ計画を掲げて申請する場合のみ)
- 支援証明書・別紙3(助言を受けた専門家が作成)
- 法人の場合:履歴事項全部証明書(登記簿謄本)と、都税事務所発行の納税証明書
- 個人事業者(事業税が課税対象)の場合:「個人事業の開業・廃業等届出書」の写し、都税事務所発行の納税証明書、区市町村発行の代表者の住民税納税証明書
- 個人事業者(事業税が非課税)の場合:「個人事業の開業・廃業等届出書」の写し、代表者分の税務署発行の所得税納税証明書と、区市町村発行の住民税納税証明書
- 機械設備を購入する場合:メーカー、型番、規格等がわかる資料(市販品は価格表示のあるカタログ等でも可)
- 機械設備を開発する場合:作製する機械設備の仕様や規格等が確認できる資料
- そのほか募集要領で定める書類
何を入れるか、実物で考える
対象になる経費が分かっても、入れるものが決まらないと申請書は書けません。MONOSASHI が作った業務システムを、触れる形で置いています。