荒川区製造業等企業価値向上支援事業補助金
荒川区内で1年以上事業を営む製造業等の中小企業者が、設備の導入やシステムの構築にかかった費用の2分の1(賃上げ要件に該当する場合は3分の2)の補助を受けられる制度です。生産性向上、ダイバーシティ、DX推進、職場安全、BCPの5つのメニューがあり、DX推進補助は税抜5万円の投資から対象になります。
公式サイトの記載を 2026.08.11 時点で確認しています。
この補助金は、どんな制度か
荒川区が、区内の中小企業者の生産性向上と企業価値向上を目的に設けている補助金です。ひとつの制度の下に5つのメニューがあり、設備の設置やシステムの構築・導入にかかる経費の2分の1が補助されます。年間2%以上の賃上げを実施しているなど賃上げ要件に該当する場合は、補助率が3分の2、限度額が200万円に上がります。
メニューによって、対象になる投資の下限額が違います。生産性向上設備投資補助・ダイバーシティ経営推進補助・職場安全設備投資補助は補助対象経費(税抜)が20万円以上、BCP実践設備投資補助は10万円以上から。DX推進補助だけは税抜5万円以上と、入口が低く設定されています。DX推進補助が見ているのは、デジタル技術で業務効率化や販路拡大につなげるためのシステムの構築・導入と、インターネット販売サイトの構築(業者への委託費、サーバ・ドメイン関連の初期費用など)や出店の初期費用です。
対象外の線引きもはっきり書かれています。インターネットやサーバの維持・管理を業者に委託する費用は対象外、パソコンも対象外(テレワーク用にリースするものは除く)、販売サイト作成に必要と認められないソフトウェアや参考書も対象外です。毎月払い続ける運用費ではなく、立ち上げにかかる費用を見る制度、という組み立てになっています。生産性向上設備投資補助のほうでは、複写機や事務用の机・椅子、営業車(トラック等の事業用車両は除く)が対象外の例として挙げられています。
申請のタイミングには決まった順番があります。まず設備等を導入する前に区へ相談し、補助金の申請前に専門家によるアドバイスを受ける必要があります。そのうえで交付申請、交付決定通知の受領、購入・設置、実績報告、という流れです。すでに設置した設備や支払いが完了した設備は対象になりません(BCP実践設備投資補助で特例を利用した場合を除く)。生産性向上設備投資補助は4月から翌年2月まで、毎月1日から15日(15日が閉庁日の場合は翌開庁日)の間に申し込む形で、それ以外のメニューは設置・支払いが完了する約3週間前までの申し込みとされています。
限度額は一般で100万円、特例に該当する場合は300万円です。特例の適用要件は、経営革新計画の承認を受けて計画に沿った設備を導入する場合、エコアクション21またはISO14000シリーズの認証を受けて認証内容に沿った設備等を導入する場合、東京都中小企業振興公社のBCP実践促進助成金の交付決定を受けて交付決定の内容に沿った設備等を導入する場合、区の中小企業デジタル化支援事業の受講を完了して翌年度までに設備投資等を行う場合(DX推進補助の申請時のみ適用)です。同一申請者については、補助額の合計が100万円(特例の場合は300万円)になるまで各メニューを利用できます。
枠ごとの上限額と補助率
| 枠・類型 | 上限額 | 補助率 | 対象・条件 |
|---|---|---|---|
| 生産性向上設備投資補助 | 100万円(特例300万円) | 1/2(賃上げ要件に該当する場合は2/3・限度額200万円) | 計画期間3年で年平均1%以上の労働生産性を向上させるために必要な設備の設置(補助対象経費 税抜20万円以上) |
| ダイバーシティ経営推進補助 | 100万円(特例300万円) | 1/2(賃上げ要件に該当する場合は2/3・限度額200万円) | 多様な人材が働きやすい職場環境を整備するために必要な設備の設置(税抜20万円以上、区内に設置し移設が容易でないものに限る) |
| DX推進補助 | 100万円(特例300万円) | 1/2(賃上げ要件に該当する場合は2/3・限度額200万円) | デジタル技術を用いて業務効率化や販路拡大につなげるために必要なシステムの構築・導入等(税抜5万円以上) |
| 職場安全設備投資補助 | 100万円(特例300万円) | 1/2(賃上げ要件に該当する場合は2/3・限度額200万円) | 業務上における安全な職場環境を整備するために必要な設備等の導入(税抜20万円以上) |
| BCP実践設備投資補助 | 100万円(特例300万円) | 1/2(賃上げ要件に該当する場合は2/3・限度額200万円) | 公社BCP助成金交付要綱による助成対象事業として規定されている設備等の導入(税抜10万円以上) |
※ 枠によって対象になる費用も変わります。申請前に公募要領でご確認ください。
補助の仕組み
かかった経費のうち 補助率(1/2(賃上げ要件に該当する場合は2/3)) の分が補助され、残りが自己負担です。補助額は 上限100万円 が上限で、上限を超えた経費は自己負担になります。
どんな費用に使えるか
- ソフトウェア・クラウド:DX推進補助で業務効率化に必要なシステムと認められるものは対象。インターネット販売サイト作成に必要と認められないソフトウェアや参考書は対象外
- パソコン・周辺機器:パソコンは対象外(テレワーク用にリースするものを除く)。生産性向上設備投資補助では複写機、事務用の机・椅子も対象外
- 機械・設備:製造装置・機械、印刷機等で労働生産性の向上に資すると認められるものが対象(補助対象経費 税抜20万円以上)
- ホームページ・EC:インターネット販売サイトの構築(サーバ・ドメイン関連初期費用等)やサイトへの出店の初期費用は対象。インターネットやサーバの維持・管理は対象外
- 外注・委託:インターネット販売サイト構築の業者への委託費は対象。インターネットやサーバの維持・管理の委託費は対象外
- 通信費・利用料:サーバ・ドメイン関連の初期費用は対象。インターネットやサーバの維持・管理にかかる費用は対象外
- 店舗改装・内装工事:ダイバーシティ経営推進補助では女性専用トイレ・更衣室、託児施設、段差解消、手すり設置等が対象。職場安全設備投資補助では耐震等の建築改修・構築物(建物・天井・塗装等)、空調設備、照明設備は対象外。事務所の専用ではない設備(自宅兼用のトイレ等)も対象外
- 車両・運搬具:営業車は対象外。ただし対象外の例示からトラック等の事業用車両は除かれている
チェック=公式に対象と書かれている費用/三角=条件つき(上の注記をご確認ください)/バツ=公式に対象外と書かれている費用/横線=公式サイトに記載が見つからなかった費用。枠や申請類型によって範囲が変わります。最終的な可否は公募要領でご確認ください。
もし、この制度を使うなら
荒川区で金属部品の加工をしている、従業員10人ほどの会社を思い浮かべてみます。受注はファックスと電話、進み具合はホワイトボード、請求書は月末にまとめて手入力。同じ数字を何度も打ち直している状態です。ここで使えそうなのが、5つのメニューのうちDX推進補助になります。
受発注と進捗の管理をひとつのシステムにまとめる想定で、初期の構築費とデータ移行に60万円(税抜)かかったとします。補助率は2分の1なので補助額は30万円、手元からの持ち出しは30万円。限度額100万円の範囲には収まります。賃上げ要件に該当していれば補助率は3分の2で、補助額40万円、自己負担20万円という計算です。ただし、月々のサーバ維持費や運用の委託費は対象外なので、そこは自社で持つ前提で見積もっておくほうが安全です。
減らせるのは、転記の手間のほうです。ファックスを見ながらの入力、ホワイトボードへの書き写し、請求時の打ち直し。同じ情報を3回入力するのをやめられれば、その時間が空きます。申請の前に専門家のアドバイスを受ける流れになっているので、何をどこまで入れるかは相談しながら固められます。発注は交付決定通知が届いてから、という順番だけは崩さないようにしたいところです。
※ MONOSASHI編集部による活用イメージです。実際の対象可否は公式サイトでご確認ください。
対象になる会社
- 中小企業基本法に規定する製造業等の中小企業者であること
- 荒川区内に本社(会社は登記上の本店所在地、個人事業主は主たる事業所)を有することとなった日から起算して1年以上、区内で継続して事業を営んでいること
- 引き続き区内で事業を継続する意向があること
- 大企業が経営に実質的に参画していないこと(大企業が単独で発行済株式総数または出資総額の2分の1を超えて所有・出資していない、複数で3分の2を超えて所有・出資していない、役員総数の2分の1以上を大企業の役員・職員が兼務していない等)
- 申告の完了した直近の事業年度分の法人都民税、または前年度分の個人住民税を滞納していないこと
- 荒川区暴力団排除条例第2条第2号および第3号に規定する者が経営に関与していないこと
- 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律第2条に規定する風俗営業等を営む事業者でないこと
- その他、区長が補助金を交付することが適当でないと認める事業者でないこと
- 補助率3分の2・限度額200万円の賃上げ要件は、申請月の前月から遡る12か月間の給与支給総額が、そこからさらに遡る12か月間より2%以上増加していること、かつ申請月の前月における事業所内の従業員の最低賃金が地域別最低賃金+30円以上であること
※ すべての条件を満たす必要があります。判断に迷うときは実施機関の窓口にご確認ください。
対象・実施機関
- 対象
- 中小企業基本法に規定する製造業等の中小企業者で、荒川区内に本社(会社は登記上の本店所在地、個人事業主は主たる事業所)を有することとなった日から1年以上、区内で継続して事業を営んでいる事業者。引き続き区内で事業を続ける意向があり、大企業が経営に実質的に参画していないことなどが条件です。
- 対象地域
- 東京都荒川区
- 実施機関
- 荒川区 産業経済部経営支援課(経営支援係・産業活性化係)
申請前に知っておきたい注意点
- 試用等を含め、実際に設備等を導入する前に区へ相談する必要があります。来庁の場合はあらかじめ電話で予約します
- 補助金の申請前に、専門家によるアドバイスを受ける必要があります
- 必ず交付決定通知を受領してから設備の購入・設置を行ってください。すでに設置した設備や、すべての支払いが完了した設備は対象になりません(BCP実践設備投資補助で特例を利用した場合を除く)
- 令和9年3月末までに設備等の設置・支払が完了するものに要した経費が対象です
- 予算額に到達次第、申請受付は終了します
- 生産性向上設備投資補助は、4月から翌年2月まで毎月1日から15日(15日が閉庁日の場合は翌開庁日)の間に申し込みが必要です。その他のメニューは、設備等の設置・支払いが完了する約3週間前までの申し込みが必要です
- 交付決定通知に記載の交付決定額は予定額で、補助金の確定額は交付決定額が上限になります
- 同一申請者については、補助額の合計が100万円(特例の場合は300万円)となるまで各メニューを利用できます
- 補助対象経費が40万円以上となるときは、2社以上の見積書の写しが必要です
- 補助対象経費が税抜100万円以上、または特例(環境認証取得)による補助を受けた場合、補助年度終了後5年間、毎会計年度終了時に過去1年間の企業化状況報告書の提出が必要です。補助を受けた設備投資により収益が生じたときは、収益の全部または一部を納付する場合があります
- 導入した減価償却資産の耐用年数が経過する前の一定期間内に廃棄・譲渡等を行う場合は、区から事前に承認を受ける必要があります。補助金の全部または一部を返還する場合があります
- 不正の手段により補助金の交付を受けるなどした場合は交付決定の全部または一部が取り消され、交付済の補助金は原則として違約金等を加算のうえ返還することになります
申請の手順
事前相談
試用等を含め、実際に設備等を導入する前に経営支援課へ相談する。来庁の場合はあらかじめ電話で予約する
専門家による経営アドバイス
設備投資の内容審査と実効性を高めるため、補助金の申請前に専門家のアドバイスを受ける。申請様式は専門家が訪問して別途案内される
交付申請
専門家による確認後、申請書類を提出する
交付決定と設備の購入・設置
申請書類の正式受理後、提出書類に基づいて交付の可否が決定される。交付決定通知を受領してから設備の購入・設置を行う
実績報告
設備の設置後、報告書類を提出する。設置と経費の支払いが完了したら、期限を待たずに速やかに提出する
補助金額の確定・交付
実績報告書類の確認後に補助金額が確定し、提出した請求書に基づいて指定口座へ振り込まれる
スケジュール
- 申請書提出最終期限令和9年(2027年)2月15日(月曜)
- 生産性向上設備投資補助の申込期間4月から翌年2月まで、毎月1日から15日(15日が閉庁日の場合は翌開庁日)
- その他メニューの申込期限設備等の設置・支払いが完了する約3週間前まで
- 設備等の設置・支払の完了令和9年(2027年)3月末まで
- 報告書提出最終期限令和9年(2027年)3月31日(水曜)消印有効。窓口持参は当日17時まで
- 受付終了予算額に到達次第
※ 日程は変更されることがあります。最新の締切は公式サイトでご確認ください。
申請前に準備するもの
- 専門家派遣申請書(別記第1号の1様式)
- 補助金交付申請書(別記第1号様式)
- 事業計画書(様式第1)
- 収支予算書(様式第2)
- 法人は法人事業概況説明書の写し、個人事業主は青色申告決算書等の写し
- 法人は登記事項証明書の写し(発行から3か月以内のもの)、個人事業主は開業届の写し
- 設備投資等の概要と金額がわかるもの(見積書とカタログの写し。補助対象経費が40万円以上となるときは2社以上の見積書の写し)
- 法人は直近事業年度分の法人都民税の納税証明書の写し、個人事業主は直近の個人住民税の納税証明書の写し(荒川区外に住む個人事業主は、荒川区個人住民税(事業所課税分)の納税証明書の写しも必要)
- 特例で申請する場合(生産性向上設備投資補助のみ):経営革新計画承認書・申請書の写し、エコアクション21またはISO14000シリーズの認証を受けた書類および申請書の写し、公社が実施するBCP実践促進助成金の交付決定通知書・申請書の写し
- 賃上げ要件で申請する場合:賃金台帳の写し(申請月の前月から遡る12か月間および、そこからさらに遡る12か月間分。役員を除く全従業員分。個人事業主は代表者を除く)と賃上げ関連様式(様式A〜D)
- ※様式については専門家が訪問し、別途案内されます
申請の前に、読んでおきたいこと
制度の中身とは別に、補助金そのものの仕組みで引っかかりやすいところがあります。
何を入れるか、実物で考える
対象になる経費が分かっても、入れるものが決まらないと申請書は書けません。MONOSASHI が作った業務システムを、触れる形で置いています。